東和ハイシステム/歯科医院向けシステムというニッチと個性的な社長

企業分析

2020年にIPOした会社をいくつか見ていて、ビジネスモデルが面白い会社があったので紹介します。
その会社は東和ハイシステムという会社で、岡山を拠点に歯科医院向けシステム開発を手掛ける会社です。最後に業績の推移を載せますが、営業利益率が20%ある高収益企業でもあり、同社の高収益の秘密についても探りたいと思います。

面白いビジネスモデル:ソフトウェア三無主義

東和ハイシステムは「ソフトウェア三無主義」を掲げます。これは「ソフトウェア保守」「システムサポート」「バージョンアップ」の3つをいずれも無償で提供することを言っています。

え!?ソフトウェア会社なのに、保守で稼がないんですか??

ソフトウェア会社の通常のビジネスモデルは、自社システムを(廉価で)販売し、そのシステムの保守サービスで稼ぐというのが通常のビジネスモデルです。

ソフトウェア保守を無償提供することは一見不合理なように見えますが、同社のPLを見ればその理由が理解できます。それはシステム単独の販売にも関わらず売上総利益率が約78%と高いことです(以下の画面の出典:2020/9期 有価証券報告書)。

売上総利益率が高いのは文字通り販売単価が高いことを示しています。悪く言えば、今後の保守の代金も乗った形でシステム販売していると言ってもよいかと。

保守で回収していくビジネスモデルは、回収期間が長期にわたりますが、顧客のライフサイクルを通して長期で回収していくのではなく、その初期に一気に回収してしまうというのは、キャッシュフロー経営的にも理にかなっていると感じました。

そして販売先がリース会社になっていることからもわかるように、リーススキームを使用することで、顧客である歯科医院は初期に多額の資金負担が生じないというものポイントです。

なぜ販売後のサポートを手厚くして、互助会まで作って(HMG:詳細は有価証券報告書の事業の内容を参照)、顧客を囲い込むのか?保守で稼ぐのではなく、システムの売り切りのビジネスなのに。そこがすごく気になり、もうちょっと調査を進めます。

答えは「買い替え需要」にあります。目論見書には過去の顧客数の推移が記載されていますが、ここ5年でほとんど増えていません。つまり新規顧客ではなく既存顧客からの買い替え需要が多いと想像します。売り切りのビジネスなのに顧客数を開示するのも一瞬の違和感を感じましたが、それはその顧客のからの買い替え需要が見込まれるからだと考えると納得感があります。
ちなみに、目論見書によると既存顧客の買替更新比率は約95%だそうです。保守無しなのに顧客を囲い込む理由がわかった気がします。新規顧客への販売と更新販売の内訳がとても知りたいですね、東和ハイシステムのIR担当者さん、開示のご検討をお願いします!

ビジネスモデルでもう一つ気になるポイントは、競合他社です。

医療機関向けのシステム開発は日立や富士通がやっています(Googleで検索するといくつかヒットします)。歯科医院向けというところが、他社が扱っていないのでしょうか。それとも競争はしているものの、機能面で何か優位性があるのでしょうか。そのあたりが調べられませんでした。
ただ、機能面なんかは模倣されそうな気がするので、やはり歯科向けのシステムの市場の競争が緩やかなのかもしれませんね。

上場の目的と今後のビジネス展開の予想

「サポートなくして販売なし」と有価証券報告書に書かれているとおり、まず顧客へのサポートができる体制を整えない限り販売はしないというポリシーを持っています。
そのため、今後拡販が期待され関東方面での営業・サポートの人員確保を行うには、上場企業としてのブランド力が必要なのだと思います。資金的には困っていない会社なので、このあたりに上場の目的がありそうですね。

本社が岡山という地方企業には人材の確保の部分で苦しい部分があったのかもしれません。
関東での人材の確保による営業拠点の体制充実、売り上げ拡大というシナリオが描けるかが今後のポイントであります。

また、今後のビジネス展開で気になるポイントがもう1つ。
世の中的には、所有から使用へという流れがあり、要するにクラウド型(SaaS)型のサービスが広がりつつあります。歯科医院の中にも、初期投資の負担が大きい現在の方式よりSaaS型の契約を望む顧客が今後増えてくる可能性があります。そのため、今後、同社のビジネスモデルに変革が必要となる可能性があります。これまでは、ソフトウェアの保守を無料でやります、ハードの保守は少額負担の互助会でやってねとしていたところ、クラウド型のサービスだと、ソフトの保守はもちろんシステムを動かすためのサーバ等のハードも不要になります。顧客にとっては、選択肢が増えるということがいいかもしれませんね。

おわりに

システム販売にあたり、販売時の初期に利益を取るのか、保守で利益を取るのかは、あくまで顧客の長いライフサイクルの中でどのタイミングで利益を取るかだけの話(どこで資金を回収するかだけの話)であり、長い期間を全体で考えれば同じことです(合計の利益は同じ、割引現在価値は異なるものの)。
では、顧客である歯科医院は何に魅力を感じて同社のシステムを採用するのかという本質は、同社が重視するシステム購入後の手厚いサポートにあると考えます。

購入後の手厚いサポートが変わらないのであれば、システムの売り切りのビジネスだろうが、クラウドを利用したSaaS型のビジネスだろうが、利益の源泉が同じなので、今後も同じように稼いでいくと思います。ただ、PLの見え方は変わるかもしれません。

参考:Stock Voice 2020/12/28

経営者がものすごく個性的です。

東和ハイシステム[4172]JASDAQ IPO

参考:株価水準は?(出典:株探)

昨年末に上場して以降は株価は落ち着いてきました。IPO銘柄のよくあるチャートです。ただ依然としてIPO時の発行価格2,300円は上回る状況ではあるので、欲しいと思っている人はもう少し様子見かもしれません。

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