【企業分析】7453良品計画/株価下落の理由は、これまで無印が大事にしてきた価値観が世の中の当たり前になったこと

企業分析

2022年5月現在、良品計画の株価は大きく下がっていますので、同社の株を買おうかどうか迷っている人は多いのではないでしょうか。

私はよく無印良品で買い物をしますが、同社の株はこの株価水準でも買おうという気が起きません。この記事ではその理由を消費者の目線と投資家の目線から自分の考えをまとめておきます。なお、無印良品が好きな人からすると気分が悪くなる記事かもしれません。あくまで私個人の意見である点をご了承のほど、お願いします。

出典:株探

株価下落理由の対する私の仮説

良品計画の最近の株価下落は、世の中でSDGsやESG、サステナビリティが重視されるようになったことで、自然への配慮・調和といったこれまで無印良品が大事にしてきた価値観が世の中の当たり前になり、無印良品の差別化要因が低下した、ブランド価値が低下したことが原因ではないかというのが私の仮説です。

近年、企業は単にお金を稼ぐだけではなく、環境や社会に配慮し、それらに対して何らかの価値を提供しなければならない、経済価値と社会価値の協創といった考え方が重視されるようになってきました。そして、これらは良品計画が昔から大事にしていた価値観だと思います。違いがあればそれを求める顧客に刺さり、その違いが価値になりますが、違いがなくなれば顧客はその商品・サービスを選ばなくなるという競争戦略の基本的な事象が、今、良品計画の株価を押し下げているのではないかという仮説です。

消費者から見た良品計画(無印良品)

消費者はなぜ無印良品の商品を選ぶのでしょうか?

私が無印良品の商品を買う理由は「シャツの着丈がユニクロよりちょっとだけ短いから」です。本当にそれだけなのです。

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リンク先の記事にあるとおり、無印良品の商品とユニクロの商品はほとんど同じということが多いです。私がよく買うボタンダウンシャツも非常によく似ており、価格差もありません。衣類のカテゴリではユニクロと無印良品で差がないですが、家具や雑貨のカテゴリではニトリや100均ショップとも同じことが起こっています。無印良品の商品はシンプルなデザインが良いという人がいますが、その中に1つくらい100均の商品が混じってても絶対わからないレベルです。別に100均でよくね??と考える人も多いでしょう。

エシカル消費なんて言葉もよく聞きますが、無印良品もその代表格でしょう。そして、そういった価値観で無印良品を選ぶ人も多いでしょう。

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しかし、ユニクロやニトリも今後同じ方向を向いた対応を迫られます。それが企業の社会的責任であるという価値観が一般的になりつつあるためです。

また、ユニクロにしてもニトリにしても衣類や家具に特化していますが、一方で良品計画は衣類も家具雑貨も食品も扱います。そのため、コスト上の優位性もありません。日本全体が貧しくなってきて、日本人の可処分所得が減る一方のこのご時世で、商品に差がないところで無印良品は同じ価格を維持できるのかという点も見過ごせません。

企業としての良品計画(無印良品)

私が企業を見るとき、その企業の強みを確認します。なぜその企業じゃないないといけないのか、競争力の源泉になるような差別化の要因は何かのか、です。それがない場合、必ず競争に巻き込まれるからです。

良品計画はこの点を考えたときに、株を買いたくなるような決定的な要素が何かいまいちピンときません。「良品計画・無印良品でなければならない」理由がよくわからない。結果、購入に至らないのです。

無印の強みは何といってもその「ブランド」でしょう。しかし、無印良品の創業の経緯やコンセプトはブランドそのものの否定です。

無印良品[無印良品からのメッセージ]

無印良品はブランドではありません。無印良品は個性や流行を商品にはせず、商標の人気を価格に反映させません。無印良品は地球規模の消費の未来を見とおす視点から商品を生み出してきました。それは「これがいい」「これでなくてはいけない」というような強い嗜好性を誘う商品づくりではありません。無印良品が目指しているのは「これがいい」ではなく「これでいい」という理性的な満足感をお客さまに持っていただくこと。つまり「が」ではなく「で」なのです。

しかしながら「で」にもレベルがあります。無印良品はこの「で」のレベルをできるだけ高い水準に掲げることを目指します。「が」には微かなエゴイズムや不協和が含まれますが「で」には抑制や譲歩を含んだ理性が働いています。一方で「で」の中には、あきらめや小さな不満足が含まれるかもしれません。従って「で」のレベルを上げるということは、このあきらめや小さな不満足を払拭していくことなのです。そういう「で」の次元を創造し、明晰で自信に満ちた「これでいい」を実現すること。それが無印良品のヴィジョンです。これを目標に、約5,000アイテムにのぼる商品を徹底的に磨き直し、新しい無印良品の品質を実現していきます。

無印良品[無印良品からのメッセージ] (muji.net)

企業の競争力の源泉になるはずのブランドを否定しながらも、ブランドがないことが逆にブランドになり、そこから利益が生み出される。この矛盾をすっと腹落ちさせることができないのです。

とはいえ、無印良品はブランドではないとは言いつつ、ブランドでしょう。無印良品のコンセプトや世界観に共感して製品を購入している人は少なからずいます。しかし、前の段落で消費者目線での無印良品で触れたとおり、他社の製品と違いがなくなってきた、無印良品のブランドで他社よりも高く売ることができないような状況下では、本当に価値を生むブランドではなくなってきているような気がします。無印良品とユニクロの違いについて言うと、両社の製品にはほとんど差がありません。見た目は違ってもその背景が違うという人もいるでしょう。しかし、前の段落で書いたことの繰り返しになりますが、良品計画が大事にする自然や社会に対する配慮などのブランドストーリーは、企業経営では当たり前の前提になりつつあります。その点も、無印良品の差別化要因や特異性を無くし、ブランド価値の相対的な低下をもたらしているような気がしています。

なお、引用部分は無印良品のHPの「無印良品の未来」という文章からの抜粋ですが、この文章が2002年に書かれたということが驚きです(1980年代から実践されていることも)。時代がようやく無印良品に追いついたということですが、不幸にもそれが無印良品の差別化要因を失わせたのではないかと思えてなりません。

無印良品のブランドの価値はいくらか?

ちなみに、冒頭の株探の画像のとおり、良品計画のPBRは1.4倍、2022/2期の純資産額は2,269億円ですから、良品計画の帳簿には計上されていない無形資産は907億円(=2,269×0.4)と計算され、これが良品計画のブランドの価値だと言えるでしょう。株価の下落は無印良品のブランド価値の低下を意味しています(ブランド価値の低下が株価下落をもたらしている)。

ところで、無印良品はレジの行列をなんとかしてほしい、、

ところで、無印良品の店舗で買い物したときに毎度毎度思いますが、あのレジ前の長蛇の列はなんとかならないのでしょうか。私が買い物する店舗はどこもいつ行ってもレジ前で行列ができています。この状況は最近始まったものではないので、店舗側も改善する気はないのでしょうね。

株価が下落している原因が価値観だ差別化だブランドだなんだかんだ書きましたが、そんなことよりも、店舗のオペレーションの改善など、顧客の細かな不満を改善する方が業績向上に寄与するような気もします。

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