【企業分析】3763プロシップ/2022/6期決算を受けた株価下落の理由

企業分析

プロシップ社の2022/6期決算を受けて株価が下落していますが、その要因について考えてみます。なお、プロシップについては過去に企業分析記事を書いていますので、よかったらこちらも読んでいただけるとありがたいです。

プロシップ/固定資産管理システムのニッチトップ企業|Beer Lover 2014@経理/企業分析/投資
先日、飲食業のIFRSリースに関する記事を書きました。 IFRSリースに関しては日本基準リースと全く異なる思想で会計処理を求められ、その結果の財務諸表も全く異なるものとなる、という内容でした。 業務プロセスに方に目を移しても、多くの日本企業は固定資産はちゃんと管理していますが、リース契約に関しては管理...

2022/6期決算での原価率の上昇と販管費の増加

目次に書いた通り株価下落の要因は2つあると思いますが、その中でもこちらの要因が大きいでしょう。そして、このことに関する決算短信での説明がないことが、売りにつながったと思います。いずれも営業利益率が大幅低下している現状が一過性の要因なのか、今後も継続するのかで話が全然違ってきます。

ちなみに、決算短信は2022/8/10発表でしたが、本日2022/8/15開示の四半期報告書では売上原価と販管費の増加について記載がありました。以下両者のスクショ載せます。

両者における経営成績の記載は同じだと完全に思い込んでました。変えている会社(四半期報告書の方が詳しい)というはあるのでしょうか?それとも決算短信を受けて問い合わせが多かったので、四半期報告書では記載したということでしょうか?決算短信しか見ていない人は多いようにも思いますので、短信から記載する方がよいとは思います。

出典:プロシップ 2022/6決算短信
出典:プロシップ 2022/6期 四半期報告書 一部筆者加工

なお、Q1決算で原価率が高い、販管費率が高いのはいつもの傾向なので(昨年度のQ1だけが歪ですね。そのため当Q1でのYoYで影響が大きく見えます)、Q2以降も継続するのか実際に確認するよりほかはありません。本社移転費用は一過性費用なので、Q2では消えるでしょう。

出典:マネックス 銘柄スカウター 一部筆者加工

ちなみに、受注残残高の推移を追っていくと、Q1決算で増加していたのは個人的にはいいポイントだと思っています。

出典:決算短信より筆者作成

販売実績の四半期推移も参考までに。季節性(顧客の日本企業の大半が3月決算でQ4にかけて売上が大きくなる)が大きいですね。利益率が高いであろう保守売上を積み上げている点も変わりません。

出典:決算短信より筆者作成

NSD社との資本業務提携の解消

同社との関係に関しては有価証券報告書に記載があります。NSD社へはシステム開発の業務委託をしていたようです(有価証券報告書の記載箇所は以下のスクショのとおり)。

プロシップの年間の売上原価が30億円強ですので、業務委託費4億円というのは大きくも小さくもない金額です。業務提携を解消したとしても、この業務委託は続くのか、他社に委託するのか、それとも自製するのか(そんなリソースある?)、これは開示からは読み取れません。販売面でのサポートはなさそうですが、今後の業績にどのような影響があるのかがわからない。わからないから投資家は売るということでしょうか。企業と投資家の情報の非対称性については、もうちょっとうまくIRすれば株価への影響も限定的なのになという気がしました。

出典:有価証券報告書 2022/3期

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