【企業分析】5401日本製鉄/固定費→変動費へコスト構造の変化

企業分析

日本製鉄の決算説明会資料を見ていて、以下の2つのこと気になったのでメモにしておきます。

  • 在庫評価差とは(在庫評価差益の正体)
  • 製鉄業が固定費ビジネスという考えはもう古い
決算情報 | IR資料室 | 株主・投資家情報 | 日本製鉄
日本製鉄の決算情報についてご紹介します。新日本製鉄と住友金属が統合して誕生した新日鉄住金は、2019年4月に商号を変更し、日本製鉄として新たなスタートをきりました。私たちは、世界最高の技術力とものづくりの力で、鉄事業を通じて社会に貢献する「総合力世界No1の鉄鋼メーカー」を目指します。

(間違っていたら教えてほしいのですが)製鉄業は鉄鉱石や原料炭の相場に連動する鞘取りビジネスで、固定費圧縮が進んできた現状では利幅は薄くでも儲かるビジネスではないかと思っています。事実毎期フリーキャッシュフローはプラスで価値創造は継続しています。相場により毎期ボラティリティは大きい業界で、業界自体が沈みゆく巨艦のようなイメージを勝手に持っていましたが、ちょっと印象が変わりました。

出典:マネックス銘柄スカウター

在庫評価差とは(在庫評価差益の正体)

決算説明資料を読むと、2021年度と2022年度上期の事業利益には多額の在庫評価益が含まれていると記載されており、その影響を除いた「実力ベースの事業利益」という利益を重視していることがわかります。会計に詳しい人が見ると、在庫に評価益を計上したらダメなことはすぐにわかるので、在庫評価益の正体がなんなのかがまず気になります。

答えは以下のグロービスのサイトに記載されていいます(事例は石油元売り業界の事例ですが)。要するに期末在庫評価を総平均法で行った場合で、今のように原材料相場が上昇傾向にある場合には、払い出し単価が実勢相場よりも低くなることで、払い出し単価を実勢相場で計算した場合と比較して利益が大きくなっていることを在庫評価差益と表現しているようです。期末の在庫を時価で評価し未実現利益を計上しているわけではないことがわかります。

在庫評価益って計上してもいいの?棚卸資産と共に事例から考える | GLOBIS 知見録
石油元売りなど相場モノを取り扱う業界では、「在庫評価益」や「在庫影響」という考えが使われます。棚卸資産の仕入値の変動が業績に与える影響の大きさがゆえに、業績の説明において取り上げらることがあります。この考えに関して、事例を基に説明します。

逆に相場が下落傾向の場合は差損が発生します。この表現の前提として、基本は相場変動の影響は時間差で販売価格に連動させ、長期的に見ると相場変動はニュートラルなので(時間差で価格転嫁する)、その影響は除いた実力ベースで業績を見てやろうという考え方があるように思います。製鉄業界は製鉄所等の多額の投資により固定費を抱えますが、顧客価値が製鉄所での加工コストを超える場合に利益が積み上がります。

製鉄業が固定費ビジネスという考えはもう古い

鉄鋼業は典型的な装置産業の固定費ビジネスだと勝手に思い込んでいましたが、直近では変動費の方が大きいと決算説明会で説明されていました(説明者の若いころから状況が変わったと)。私自身、固定費回収のために安売りが必要で、需要の減退期には苦しいという認識は改めました。2つ下のスライドは同社の損益分岐を示すイメージで、固定費削減が進んでいることがわかります。

出典:2022年度Q1決算説明会資料より 20220804_500.pdf (nipponsteel.com)
出典:2022年Q1決算説明資料より 20220804_400.pdf (nipponsteel.com)

直近の株価水準

PBR0.5倍、PER3.1倍と割安株に見えます。実力ベース事業利益6,000億円を目標にしているようですが、税引き後で4,000億円として、そのくらい稼げるようならば、結構いい銘柄なのではないかと思っています。

出典:株探

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