ちょっと古いですが、2021/2/26にドラッグストア業界で大手のマツモトキヨシとココカラファインの経営統合が発表されました。売上高の単純合算は約1兆円業界首位となります。
2社の統合理由とドラッグストア業界全体を見渡すと、今後も再編が進みそうな業界であることがわかってきましたので、ドラッグストア業界をまとめてみることにします。
マツモトキヨシ/ココカラファインのプレスリリース
マツモトキヨシのプレスリリースは以下のとおりです。気になる点をマーカーで色付けしました。ちなみに、ココカラファインのプレスリリースも全く同じです。共同で発表していますんで。
https://www.matsukiyococokara.com/ir/library/documents/archive/matsukiyo/pdf/20210226.pdf


「ヘルス&ビューティ分野で圧倒的なプレゼンス」というのはちょっと言い過ぎな気はします。新会社は売上高は1兆円を超えますが、2位ウエルシアは9,600億円(21.2予想)、3位ツルハは9,200億円(21.5予想)です。まだドラッグストア業界の再編は道半ばで圧倒的な強者は誕生していない業界です。あとで業界の14社をまとめますが、今後さらなる再編の可能性を秘めた業界かと思います。


ドラッグストア業界は小売りということもあって利益率は低めです。業界を5-forceで分析すると、圧倒的に業界内競争と売り手の交渉力が強いのではないかと思います。付加価値を高めて売上を増やしていくのは難しい業界なので、戦略としてはコストを削減していく方向しかなく、経営統合によりスケールメリットを活かして仕入や物流の部門でのコスト削減を行うというのは理にかなっています。
顧客基盤・マーケティングのところに書かれている、顧客に関するデータ量が単純に2倍になるというのも大きいかもしれません(シナジーの定量化は難しそうですが)。
ドラックストア業界の状況(各社の業績とバリュエーション)
会社四季報(東洋経済新報社)によるとドラッグストア業界に属する上場会社は14社あります(一番下の中京医薬品は配置薬・置き薬なので同社を除くと13社)。

これを見るとよくわかるのですが、どこも営業利益率が5%前後です。ドラッグストアなので売っているものは変わらず、しかも安売りなので利益率は低めです。
ですが上位企業の方が若干利益率が高い。これは2社のプレスリリースにあったスケールメリットを通じた仕入価格の低減が理由と思われます。そして、上位企業の方が予想PERが若干高めになっています(統合を理由に買われたココカラファインは除く)、これは上位企業が今後もM&Aを通じて小規模ドラッグストアを吸収し売上を拡大させ収益性を向上させていくことが期待値として織り込まれているのではないかと想像します。
おわりに
14社のリストを眺めていると、次のM&Aはどこかなーと考えるのが楽しくなってきます。買う会社がいいのか(企業の成長を理由に)、買われる会社がいいのか(買収時のプレミアムを理由に)は悩ましいですが、投資するには面白い業界であると思いました。
コメント