【企業分析】7081レンティア/ビジネスモデルとコスト構造から考える

企業分析

本日も地味めな小型株をマニアックに調べます。取り上げるのは建築現場事務所やイベント会場向けのオフィス用品レンタル事業を営むコーユーレンティア社です。なお、株価はぱっと見かなり割安ですが、それなりに理由はありそうです。

出典:株探

なお、直近2022年8月に当期の特需あり上方修正の開示を行っています。

コーユーレンティア---2Qは増収、業績予想の上方修正を発表
*16:50JST コーユーレンティア---2Qは増収、業績予想の上方修正を発表 コーユーレンティアは10日、2022年12月期第2四半期(22年1月-6月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比9.2%増の128.27億円、営業利益が同13.6%増の13.67億円、経常利益が同12.9%増の13.63億円、親会社株主...

オフィス用品レンタル事業での同社の強み(コスト構造分析より)

事業内容は主に建設現場事務所向けやイベント向けのオフィス用品やIT機器のレンタル事業ですが、以下のフィスコのレポートには競合他社含め詳細に記載があり、そちらが参考になります。特色、強みの部分だけ抜粋します。

https://cf.pfdata.fisco.jp/data/report/20211102/6680070020211102001.pdf

出典:フィスコレポート、マーカー部分は筆者

また、この会社はあまり知られていないため事業内容や強みをもっとIRすればいいのに、最近の決算説明資料には記載されていません。ただ2020年上場時の説明資料には記載されていますので、何枚かスライドを抜粋しました。

出典:2019年12月期決算説明会資料
出典:2019年12月期決算説明会資料
出典:2019年12月期決算説明会資料
出典:2019年12月期決算説明会資料

フィスコのレポートにも書かれていますが、同社の強みは多数のレンタル品を管理するノウハウ、全国に配置する保守メンテナンスする専業の部隊です。これによりレンタル品を高い稼働率で長く使えるようにすることで利益を出している会社です。このあたりは他社には容易に真似できない堀の役割を果たしていると思われます。ビジネスモデルは良いですね。

また、同社のビジネスモデルはコスト構造を見てもよくわかります。以下の図は直近有価証券報告書等から筆者が作ったものですが、同社の売上原価のうちレンタル用品本体のコストはあまり大きくはなく(減価償却費は1割程度)、それよりもレンタル用品の保管、保守、輸送といったところにコストの大半をかけており(主に子会社のコーユーロジックスとコーユーイノテックスの2社が担っています)、ここがこの事業の付加価値が高いことを示しています。

さらに、これらのコストは大半が固定費にあたりますので、レンタル用品の稼働率を高める取り組みというのが非常に重要です。レンタル品の管理システム構築や専業の保守メンテナンス部隊の保有、部品の共通化という取り組みは理にかなっています。

出典:有価証券報告書より筆者が作成

株式の流動性がかなり低めです

ここからは同社の良くない点です。まず、株式の流動比率が非常に低いです。発行済株式総数5,412千株に対して浮動株式比率は約14%であり、スタンダード市場の上場維持基準の25%すら下回る状況です。大株主のワイドフレンズが7割以上の株を保有していることが理由で、市場で株式はほとんど流通していません。

このことは会社側もわかっていて、2022年6月に立会外分売にて100千株(発行済株式の2%弱です)が市場に流通するようになりました。これでもぜんぜん足りないので、分売はあと数回あるかもしれませんね。あと株主優待も設置されていて、個人株式を増やそうとは思っているようです。

賃貸不動産(赤坂の駐車場)に含み益を抱えていますが資産効率は悪い

同社は収益物件として駐車場(東京都港区赤坂:有報の設備の状況より)を持っており、簿価24億円に対して時価は60億円と36億円の含み益を抱えています。法人税30%を加味しても税引後で約25億円であり、同社の時価総額約80億円、簿価純資産77億円と比較してもかなり大きな額です。なお、実質PBRは0.78倍となります。
この簿価24億円からの賃貸損益は0.4億円ですので、到底資本コストを上回る収益は上げているとは思えません。

その他(留保金課税や純投資目的株式)

その他も突っ込むところは多いです。まず、親会社ワイドフレンズに77%の株を持たれていますので、上場会社では珍しく留保金課税の対象になり21/12期では約1億円の税金負担が重いです。またこの会社、政策保有株式も1億円弱保有していたのですが2021年に純投資目的に振り替えています。開き直りのようにも思いましたが、純投資で上場株式を保有する資金があるなら、市場に返金してほしいです(といっても株主の大半が親会社ですが。というか親会社が保有すればよい)。

バリュエーションとまとめ

ここまで見てきたように、上場後割安に放置されている理由はたくさんありそうです。これが解消するにはかなりの時間がかかりそうですし、建設現場事務所向けやイベント向けのオフィス用品レンタルという事業の性質上、オーガニックな成長も大きくは見込めません。それゆえ、小型のM&Aはいくつかして規模を大きくしていこうという点は見て取れます。

一方で、ビジネスモデルは良く業績も安定しており、平常時で営業利益が18億円(中期経営計画2023/12水準)、そしてちょくちょくスポットの特需があって中計の20億円(中期経営計画2024/12水準)くらいの利益は毎期見込めるのではないか。その場合、EPSが240円(20億円×税金加味0.65/5,412千株)なので、株価はPERが7倍で1,681円、8倍で1,920円となり、現状の株価よりは割安に思います。株価の安いところでは拾っておくのが良い銘柄ではないでしょうか。

おまけ

ちなみに、この会社はなぜ上場したのでしょうか?上場時の資金使途が東京オリンピックの・・・となっているのも面白いですが、同社は毎期20~30億円の営業CFあるので資金調達の必要はなかったのではないか?資金が必要なら赤坂の駐車場を売ればいいしと思ってしまいます。

出典:目論見書

参考資料(子会社のコーユーロジックスとコーユーイノテックス)

コーユーレンティアの関連当事者注記と子会社2社(ロジとイノテックス)の売上高を比較すると、2社の売上高はほぼ親会社向けの販売であることがわかります。ロジはオフィス用品の保管や保守、イノテックスにはPCの保守などを委託している関係にあります。

出典:コーユーレンティア2021/12個別注記表
出典:コーユーロジックスHP
出典:Wikipedia コーユーイノテックス

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