【企業分析】7611ハイデイ日高/3085ALサービス/コロナ禍の2社の戦略~2021/4/2 ガイアの夜明け~

企業分析

ちょっと古いですが、テレ東ビジネスオンデマンドで2021/4/2のガイアの夜明けを見ました。
取り上げられていたのは中華チェーン「日高屋」を運営するハイデイ日高と、とんかつチェーン「かつや」を運営するサークランドサービスHDの2社です。同番組の感想を簡単にまとめるとともに、両社の戦略の違いについて見ていきます。

2021年4月2日放送 今こそ攻めろ!外食王 新たなる闘い|ガイアの夜明け : テレビ東京
「日経スペシャル ガイアの夜明け」2021年4月2日放送 今こそ攻めろ!外食王 新たなる闘い:コロナ禍で大打撃を受けている外食産業。しかし、この現状を"チャンス"と捉えて攻める外食チェーンがある…

7611ハイデイ日高(日高屋)の戦略:直営店運営

ハイデイ日高(以下、日高屋)は中華食堂日高屋の業態で、駅前立地と安さを武器に成長してきた企業です。
番組では、コロナ禍で駅前からサラリーマンが消えちょい飲み需要が蒸発し、業績が大幅に悪化する中でも出店攻勢に出る点にスポットを当てた番組の構成になっていました。
物件開発を担当する神田会長は「コロナが絶好のチャンスだ」と語りました。飲食を含む小売業の業績悪化で店舗の撤退を余儀なくされ、普段は空かない都心部の駅前立地の物件が出だしている点、大手ファミレスチェーンが大量閉店を行い、ロードサイドの物件も空きだしている点が理由です。また、コロナ禍で家賃も15~20%下がっていることも理由です。

番組の中では言及されていませんが、日高屋は直営店主義です。そのためコストにシビアで競争力の源泉をコストに置く企業です(低コストを実現→販売価格が安くても利益出る)。そんな日高屋からすると、通常の経済下ではなかなか手に入らないいい立地の物件が、それも安価に手に入るコロナ禍が絶好のチャンスだというわけです。自社の業績がめちゃめちゃ悪いのに狼狽せず逆に物件オーナーの足元を見て安く物件を手に入れる経営者は単純にすごいと感じました。

その他にも、会長の社用車はなし、鉛筆も短くなるまで使う、管理部門にお金は使わない(店舗に使いたい)、店舗のオペレーションの効率を良くするためお店は50坪以内、ロードサイドの広い物件は他社と半分ずつ家賃も折半で使うなど、コストを意識した経営を行っている点がたくさんありました。

【ハイデイ日高の出店形態】

出典:有価証券報告書 2020/2期

首都圏のドミナントやセントラルキッチン集約もコスト削減の施策ですね。

3085アークランドサービスHDの戦略:FC運営

アークランドサービスHD(以下、ALサービス)は、「かつや」を中心に、からあげ専門店「からやま」や東京たらこスパゲッティなど17の業態の飲食店を運営する会社です。

番組では、新メニューや新業態を開発するテストキッチンで顧客に週替わりでお試しメニューを提供するという、同社の新業態開発にスポットを当てた番組構成になっています。その週替わりのお試し店舗は顧客に500円でランチを提供する代わりにアンケートを書いてもらい、そのフィードバックをメニュー・業態開発に活かすというものでした。

番組の中で印象に残った臼井社長のコメントを紹介します。お試し店舗でベトナム料理フォーを提供し、そのアンケート結果で5段階評価で真ん中の3(ちょうどよい)に評価が集中していた結果を見て、「ちょうどよいだと店の個性が出ない。記憶に残るものを店にしていった方がよい」とコメントされていました。無難で個性がなく他の店でも出しているものを、他のお店と価格競争になって勝てないということだと思います。他社と違いを作って価格に主導権を持ち、売上を伸ばしていく戦略です。ちなみに、無難なものを作って価格競争上等で他社と競争をして、他社より低コストを実現して勝つ(利益を出す)のが日高屋の戦略です。

番組の中では言及されていませんが、ALサービスは店舗の約6割がフランチャイズ店舗です(後ろの画面ショットの「カテゴリー別出店状況」参照)。フランチャイジーから売上の数パーセント(3~5%)をロイヤルティとしてもらうビジネスモデルなので、当然ながらコストを下げてくよりも店舗の売上を上げていく戦略に落ち着くのは道理ですね。

【ALサービスの出店形態】

出典:有価証券報告書 2020/12期

まとめ

それぞれの経営者が見ているものがよくわかりました。日高屋は「コスト低減」、ALサービスは「違いを作り売上を伸ばすこと」。それぞれが戦略ですね。そしてその背景・前提として、日高屋は直営展開、ALサービスはFC展開という違いがあることがわかりました。

コロナ禍での両社の業績には明暗が分かれていますが(日高屋は夜のちょい飲み需要が蒸発したことが大きい)、コロナ前はいずれも飲食業で営業利益率が10%を超える高収益企業でした(以下、参考)。

参考:両社の株価と業績推移

出典:株探
出典:株探
出典:株探
出典:株探

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