エネオスのJRE 2,000億円買収に経理屋が思うこと

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石油元売り大手のエネオスHDが再生可能エネルギーを手掛けるジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を2,000億円で買収するという記事。

エネオスHD、再エネ会社2000億円で買収へーゴールドマンら売却
国内石油元売り最大手エネオスホールディングス(HD)は11日、子会社のエネオスを通じて再生可能エネルギーを手掛けるジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を約2000億円で買収すると発表した。

脱炭素やカーボンニュートラルなんてワードを聞かない日はないですが、石油という化石燃料を取り扱うエネオスにとって、事業の変革が必要で、何もしなければ2050年に会社が存続しているか怪しいということはよくわかります。

でも、ちょっとこの買収額は高すぎやしませんか?といつもながらに思っています。

2,000億円は妥当か?

同社のプレスリリースによるとJREの直近決算では売上高が224億円、当期純利益は△9億円の赤字会社になります。PSRで約9倍のバリュエーションです。
PSRでバリュエーションはしてないでしょうが、9倍という数字は、SaaSのIT企業並みの評価という気がします。

SaaSのIT企業とJREの違いを2つ挙げておきます。

①SaaSのIT企業は獲得した顧客からストック収入で「安定した」収益が期待できる点が特徴ですが、JREでは、販売する電気は電力市場の相場に左右されるのではないか?ビジネスへの私の理解が間違っているかもしれませんが。あと、風力や水力で発電しますが、風が吹かなかったときの顧客への電力販売はどうするのでしょうか?顧客に迷惑をかけないよう足りない分は市場から調達するということであれば、去年の冬のように、電力市場が高騰した場合、多額の調達コストが必要になるかもしれません。相場や天候という不確定要素をかなりはらんでいるのではないかという気がしてなりません。

②SaaSのIT企業は、追加の投資を必要とせず、追加コストゼロで収益を増やしていくことができます。ITの特徴ですね。一方で、JREは規模を拡大していくためには、多数の発電所が必要になります(海の上に立っている風車です)。多額のCAPEXが必要(減価償却というコストでもある)ということは、当面は投資キャッシュフローが必要な投資フェースですので、回収フェーズはかなり先ではないでしょうか。

とはいえ、これだけ脱炭素が叫ばれる世の中で、特にESG関連の取り組みが求められる上場企業にとっては、自社が大規模な電力消費者である場合、自社の工場で使用する電気はクリーンである必要があり、JREが販売する電気の需要は今後ますます高まっていくことは間違いありません。

経理屋目線では、すぐに減損は起きないだろうとも思う

JREは純資産が400億円の会社ですので、2,000億円で買収すると、1,600億円ののれんが生じることになります。そして、それだけの減損リスクを抱えることでもあります。

PSRでバリュエーションはやってなく、DCFで企業価値を算出した場合、将来何年分の事業計画を作成しているのでしょうか?脱炭素というのは、5年や10年で達成できるものではなく2050年という長期のスパンで考えていく潮流です。そのため、直近5年くらい事業計画の全体に占めるインパクトはごくごく微々たるもので、10年後くらいからテールヘビーで拡大してくような事業計画なのでしょうか。

とするならば、直近5年くらいの計画と実績の比較や計画の進捗具合なんかでは、減損のは測れないのではないだろうか。少なくとも今の経営陣が全員いなくなった時期に減損という結果になるのかも、、、と思ってしまいました。

ちなみに、エネオスHDの2021/3期の営業利益は約2,500億円、純資産は2兆7,000億円ですので、1,600億円を減損したところで経営に与えるインパクトはほとんどありません。なお、エネオスはIFRS適用企業なのでのれんの償却はありません。

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